バスバーについて
バスバー(ブスバー)という金属板の試作品を加工することが15年以上前から増えてきております。
開発が盛んなEVはじめバッテリー、電池、モータ、制御盤、配電盤など幅広い用途に使われています。
加工する金属板の材質は、C1100(タフピッチ銅)やC1020(無酸素銅)といった銅の純度が高いものの
取り扱いが多いです。近年は、銅の市場価格が高騰しているため、代替え材料として銅よりも安価で
軽く、電気を通しやすい、A1100、A1050などのアルミ材を使って実験を重ねているケースもあります。
長年、我々はバスバーの試作品の加工実績を積み上げてきております。板厚は、0.5mm~3.0mm程度のもの、製品サイズは手のひらに載るものから両手で持てるものが多く、数量は、1個から多い時は数百個単位でのご注文を承っております。精密な製品向けということと、樹脂加工品とASSY(組み立て)されるものが多いので寸法精度の高い製品が求められます。
バスバーの形状も様々で、外形をカットするだけのもの、曲げが複雑なもの、曲げの段差が低いもの、
R(円弧)形状のものなど多岐にわたります。中には、相手物が差し込みやすいように板の先端にC面加工が施しているもの、また、ダボ(突起)加工やビード(絞り)加工、部分的に板厚の潰し加工がある製品もございます。
当社の加工方法は基本的に製品の外形(ブランク)カットはワイヤー放電加工機を使います。
ビード(絞り)加工のある製品は、試作金型を内作し、プレス(成形)加工、曲げ加工を行い、完成品に
仕上げます。何故レーザー加工機を使ってカットしないのか?と疑問に思われるかもしれませんが、
それには理由がございます。バスバーのように±0.05の寸法精度が高いものを求められる製品をレーザー加工機でカットしてしまうとレーザーは溶断しながら材料をカットしていくので熱収縮の影響を受け、曲げ、穴ピッチの精度を保つことが困難です。近年は熱影響を受けにくいファイバーレーザー加工機がありますが、それでも精密な曲げ形状の製品には今のところ向いていないと思います。
当社の曲げ加工においては汎用の金型が豊富に揃えておりますので金型レスでの加工が可能です。
ただ、段差の低い曲げ、特殊なR曲げ形状、部分的に板厚を潰している形状など、製作が困難な形状の
ものは試作型が必要になってきます。その場合でも自社で試作型を製作し加工することができますので
あらゆる形状のものを短納期でお応えいたします。
また、ワイヤー放電加工機を用いずにタレパン(打ち抜き)加工機を使って外形をカットする加工方法も
ございます。こちらも打ち抜きプレスの金型を豊富に揃えており、より早く外形のカットを行うことができます。ただ、いくつかの金型を組み合わせて行い、外形を追い抜きでカットしていくため、
二ブリング跡(金型と金型のつなぎ目)がつきます。製品の機能上に問題はないかと思いますが、
見ため的に稀に気にされるお客様もおられます。
その他、エッチング加工もあり、板厚が薄くて製品サイズが小さいものについては、価格的にメリットがあると思います。お客様の望まれる品質、納期、価格に応じて加工方法をご提案させていただきます。
お客様のご要望に応じてバスバーは、板金加工だけでなく表面処理加工を施すことが多くございます。その場合、我々が窓口になって信頼のおける外注先へ表面処理加工を依頼することができます。主に光沢スズ(Sn)メッキ、ニッケル(Ni)メッキがございます。メッキ前の下地処理としてスズ、ニッケル処理も時にはございます。メッキ処理後の膜厚指定についての検査管理も蛍光X線膜厚測定器を使って測定しておりますのでご安心いただけると思います。
表面処理加工を行う際、変形の心配のない板厚やフラットな製品に関してはガラメッキを推奨いたしております。板厚が薄くて繊細な製品については吊り治具に手作業で取り付け取り外しを行っております。変形させないように細心の注意を払っておりますが、見た目では分からない製品の変形がどうしても発生してしまいます。変形したままの納品は避けなければなりませんのでメッキ後に確認用の治具にセットし手修正を行い形状に問題がないか一つ一つ確認しております。本来このような工程はムダなことで量産品ではあり得ないことだと思います。我々のような試作業者にはメッキ材の入手が困難のため、メッキ材を支給していただけるのであればこのようなムダは省けると思います。お客様でお手持ちのメッキ材があるようでしたらお声がけいただければ幸いです。
このように数多くのバスバーの製品を手掛けてきました。お客様から図面をいただき試作をつくる段階から必要な寸法箇所を十分にお聞きし、また、我々の方でも加工のご提案、ご要望をお伝えし、お客様の納得される品質、納期にお応えさせていただきます。
バスバーのことで、何かお困りごとがございましたら是非当社にご用命くださいませ。